《南帆side》



斗樹と過ごした花火大会から約一ヶ月ほどが経って
一週間前から新学期が始まった。


斗樹とは今まで通りの関係でなんの変化もない。



「榊原さーん、炭谷くんが呼んでるよ」



この教室、暑いな…なんて思いながら下敷きでパタパタと扇いでいると女の子の声が聞こえてきて


そちらを向くと教室のドアのところに炭谷くんが爽やかに笑って手を振っていた。



「あ、うん。ありがとう」



教えてくれた女の子にお礼を言って炭谷くんの元へ行った。


近くで見た彼は夏休み前よりも少し焼けていて夏休みを堪能したんだろうな、ということが予想できた。