「何って甚平よ。
お母さんね、南帆が彼氏と一緒にお祭りに行く日が来るんじゃないかって思って実は買ってきてたのよ♪」


「と、斗樹は彼氏じゃない…!!」



変な勘違いしないでよ。
あんなやつが彼氏なんて絶対拒否!断固拒否だから!


バカが移る!!



「あら、照れちゃって。南帆は昔から……「も、もういいから!ていうかなんで甚平!?」



お母さんってば、ほんとに勝手な妄想が激しいんだから。


しかも、普通は浴衣とかじゃないの!?



「甚平のほうが動きやすいじゃない。
あなたは浴衣とか昔から嫌がって着なかったし」


「そ、そうなの…?」


「覚えてないの?
可愛らしい浴衣を買ってきたのにワーワー泣いて着なかったんだから」


「へぇ。全然記憶ないよ」



小さい頃の記憶なんてないよ。
全然思い出せないもん。


思い出せたとしてもぼんやりとしか……。