「ちょっと、聞いてるの?南帆!」
「え?あ、うん」
「着るのね、分かったわ。じゃあ、二階に来てね」
着る……?あれ…?何の話?
斗樹のことを考えていて全く聞いてなかった。
とりあえず二階に行けばいいのね。
めんどくさいけど、お母さんが怒った方がよっぽどめんどくさいから早く行かなきゃ。
暑さで体がだるい。
汗も滝のように流れ出てくるし。
顔をパタパタと手で仰ぎながらお母さんの待つ二階へと向かう。
「お母さん〜何を着るの?」
部屋のドアをガチャと開けながらお母さんに話しかける。
すると、中からお母さんの陽気な声が聞こえてきた。