「別に私が誰に笑おうが斗樹には関係ないじゃん」
出来上がったカレーを皿に盛り付けながら言うミナ。
俺はサラダを放置したまま、ミナをぎゅっと後ろから抱きしめた。
「な、なに……!?
離れてよ、暑苦しいなぁ!」
焦ったように声を上げたミナ。
もっと、もっと焦ればいい。
俺のことでご自慢の賢い頭がいっぱいになってその冷静な表情がもっと崩れればいい。
「…ふざけんな、関係あるに決まってんだろ。
好きなヤツが誰かに取られそうな気持ちなんてお前には分かんねぇだろうな」
鼻をかすめるカレーの匂いとお風呂あがりでシャンプーの香りが漂っているミナの匂いや体温が俺の心臓をいちいち刺激してくる。
ハァ…いつからこんなに女らしくなったんだよ。
どうせ、無自覚なんだろうけど…クソ野郎。
「っ…!」
「俺はこんなに必死なのに
お前は…今でもどうせアイツのこと考えてんだろうな」
俺は一体何を言っているんだろう。
優しくて紳士的になるってさっき決めたのにもう弱々しくてダッサイ男になっている。
心では叶わないなんて分かっているのにどうして体は正直に動いちまうんだろう。



