「斗樹って昔から髪の毛乾かすのだけは上手かったよね。ろくに料理とかできないくせにさ」



少しバカにするような口調でいうミナにムカついてワシャワシャと意味もなく髪の毛をボサボサにする。


案の定ミナは不機嫌そうに眉間にシワを寄せて俺の方をキッと鋭く睨む。


そんなに睨んでも全く俺には効果ねぇし…てか、むしろ逆効果で可愛いとしか思えねぇんだけど。



「もう、乾いたから向こう行ってよ」



「はぁ?どこが?
まだ濡れてんだろうが。バカじゃねぇの?」



立ち上がろうとするミナの腕を引っ張って、腕の中に引き寄せた。
密着状態のままウィーンと機械音だけが部屋に響く。


ミナもこれには動揺しているのか何も言わない。
もちろん、俺も。


自分でやったことなのにミナとの距離が近すぎてどうにかなりそうだ。