「はぁ…俺またミナから抜け出せなくなっちまった」
「な、何言ってるの?」
抜け出すとか抜け出さないとかよく分からない。
急にこんなことを言い出すあたりはいつものバカな斗樹だ。
色気たっぷりに見えてしまうのはきっとお風呂上がりだからに違いない。
「だから、お前のことがもっと好きになったっつってんだよ。
それこそ、何回も言わせんな。」
照れているのか、ほんのりと耳を赤くして顔を伏せた。
長くて綺麗なまつ毛がドライヤーの風のせいで揺れる。
あ…ダメだ。
今は斗樹のどこを見てもいつもとは違うく見えておかしい錯覚に惑わされてしまいそうだ。
「……お風呂入ってくる」
この場から逃げ出したくて、斗樹の髪の毛が乾いてきたのを見計らってお風呂を理由に部屋から出て斗樹から逃げた。
ただの幼なじみなのに。
むしろ、そんなに好きじゃなくて嫌いな方だったのに…どうしてこんなにときめいてドキドキしちゃってるのよ。