勘違いもほどほどにしてほしい。
「そんなこと一切思ってないから」
「ミナはすぐ強がるからな。
よーく見たら怯えた目してるのに全然言わねぇし」
斗樹はまるで、『なんでも知っている』とでも言いたげに見てくる。
確かに他の人よりかは斗樹の方が私のことをたくさん知っているとは思うけど。
「別に言ったらところで何も変わらないもん」
「俺が抱きしめてやる。
怖さなんて吹っ飛ばすぐらい」
なっ……!
いきなりそんなこと言うのは本当に心臓に悪い。
別に『抱きしめてほしい』とか思ってないけどそんなこと言われ慣れてないから心臓が大きく跳ね上がる。
「照れてる…可愛いな。
ちょっとは俺に興味湧いてきた?」
「わ、湧くわけない…!!バカ!!」
図星を突かれた私は行き場をなくして斗樹の体を押すけど、斗樹の体はピクリとも動かずに私との距離は密着に近い状態のまま。
「あ、メッセージ来てんぞ」
何も無いかのように平然と私のスマホを手に取ってアプリを勝手に開ける。
その余裕そうな表情にまた苛立ちが増す。
「な、何勝手に見てんの…って、え!?」
斗樹からスマホを奪い取り、メッセージの内容をみて私は目も見開き、それと同時に焦りを感じた。
それはお母さんとお父さんからのメッセージで【今夜、家に帰れそうにない】と来ていたからだ。
そ、そんな……ただでさえカミナリがまだ鳴っているというのに。



