「でも…」
「頼む……あとちょっとだけ俺にチャンスをくれ」
「ち、チャンスって?」
「テストで現社の点数お前に勝てたら俺と一緒に花火大会行ってほしい」
現社…って私は別に得意でも不得意でもないけれど斗樹が高校で習う教科の中で一番苦手な科目じゃん。
なんでそんな無謀なことしようとするの…?
結果なんて目に見えてるじゃない。
「現社って…」
「いいんだ。頑張ってお前と花火大会…行きたいから」
真剣で、でもどこか恥ずかしそうに言う斗樹の言葉に私は黙って一度頷いた。
“絶対無理だからOKした”とかそんな理由じゃない。
ただ、あんなに真剣なところを見せられるとNOなんて答えは出てこなかった。



