「お前のくせに無視とかムカつく。なあ?」
ムスッと不機嫌そうな声色で言う主は私の両頬を手でつまんで無理やり私の視線を自分の方へと向かす。
そんなに強くはつままれてはないけど、痛みが頬にはしり、少しヒリヒリとする。
「いったいなぁ。
私の許可なしに触んないでよ」
必然的にぶつかる視線。
でも、私は声の主……斗樹を鋭く睨みつける。
そう、斗樹と同じクラスになったら毎日のように話しかけられて宿題やノートを見せろ、だのくだらない頼み事をされる。
「お前が無視するからだろ」
平然と悪びれる様子もなく言う彼に腹が立ち、スネを一発思い切り蹴ろうとしたけど、ひょいと慣れたようにかわされた。
「っ…!」
かわされたことに驚きが隠せずに目をぱちくりさせていると目の前の彼がフッと鼻で笑った。
「お前のしそうな行動なんか読めるし」
それはそれはもう憎らしいほどのドヤ顔で…
更に私のイライラメーターを上げていく。
「うっざ。
そんなやつに英語の宿題なんて見せない」
今度は私が拗ねたようにそういうと、彼は少し動揺の色を見せたけどすぐに元の表情に戻り
私のつまんでいたほっぺから手を離して、今度は顔が崩れるんじゃないかってぐらい頬をメチャクチャに撫でる。



