人工的に作られたような声が地下牢に響いた。


ばっ!と振り返ると、そこには青い制服を着た数名の騎士の姿。



っ!


見つかった…!!



その時、ロッド様は私の手を強く握って叫んだ。



「走るぞ、姫さん!

ここで戦うには、足場が悪い!」



地下牢は薄暗く敵の姿が見えにくい上、地面が手入れされていない洞窟のようだ。


私は、ロッド様に引かれるがままに走り出した。



「待テ!反逆者ヲ捕マエロ!

姫ハ傷ツケルナ、騎士長ヲ始末シロ!」



「!」



私は、背後から迫り来る声に体が震えた。


追いつかれたら、私は捕らわれ、ロッド様は殺されてしまうの…?!


すると、ロッド様が足を止めずに口を開いた。



「不安そうな顔をするな…!俺はたった今、命をかけて姫さんを守ると誓ったばかりだろう。

姫さんを誰にも渡すつもりはない。」







力強い言葉が、私の心に染み込んだ。


低く艶のある声によって、安心感で満たされていく。



…どうしてだろう。


不安や恐怖を感じていたはずなのに、ロッド様の声と手の温もりだけで、“どうにかなる”って本気で思える。



その時、目の前に階段が見えてきた。


ロッド様が背後にランプを投げつけながら言う。



「城の中庭に繋がる階段だ。

あれを登れば、城の門は目と鼻の先にある」



門を出れば、ノクトラームの城下町から外に出る道が開ける…!



私は、ロッド様と共に階段を駆け上がった。


背後を振り返る余裕もなく、ただひたすら足を動かす。



その時、階段の終わりが見え、青い空が目に映った。



「ロッド様!地上に出ます!」



と、私が声をかけた次の瞬間。

ロッド様がいきなり手を引き、私の体を、ひょいっ、と抱き上げた。



え…?!



「姫さん、目ぇつぶってろ!」



シャツ越しに触れた頬に、鍛えられた胸板の感触がした瞬間

ロッド様は瞳を輝かせ、外へと飛び出した。



ヒュンヒュンヒュン!!



私たちが飛び出すのと同時に、魔法で作られた矢が四方から雨のように私達目掛けて降り注いだ。







ロッド様は、私を庇うようにしながら魔力を放出する。



パァァッ!!



碧色のロッド様の魔力が、操られた騎士達が放つ魔法の矢と衝突して私達への攻撃を消し飛ばした。