《ロッドside》



「……ッド…、ロッド!!!」



俺の名を呼ぶアルトラの声で、俺は、はっ!と目を開けた。


と、その瞬間に、自分は一瞬意識を失っていたということを把握する。



ズキリ…!



それと同時に、胸の辺りに今までに感じたことのないような熱と痛みを覚えた。


見ると、制服が刃で切り裂かれ、裂傷からは血が流れ出してシャツを染めている。



…くそ、モロに攻撃を受けた。


躱す余裕がなかったとはいえ、やり過ぎたな



アルトラは、倒れた俺を抱き抱えるようにして俺の顔を覗き込んでいる。


どうやら、俺が思っていたよりも重症を負ったらしい、というのは、今まで見たことのないほど緊迫したアルトラの表情と体に広がる痛みから察することが出来た。


ドクン、ドクン、と切り裂かれた傷が脈を打っているのが分かる。


体の力が抜けていくような感覚に、そのまま意識が飛んでいきそうになった。



「ロッド!しっかりしろ!」



声を上げるアルトラに、俺は荒く呼吸をしながら尋ねた。



「…アルトラ…怪我はないか。」



「…!」



アルトラは、もどかしいような混乱しているような複雑な表情で頷いた。


その時、再び頭上からジャナルの魔力の気配を感じる。



「っ!」



第二の刃が飛んできたと思った瞬間、アルトラが魔力を放って、奴の刃を弾き飛ばした。



ドォン!!



玉座が揺れる。


煙が舞って、視界が霞んだ。



「…どうやら、仕留め損なったようですね。

まぁ、もう戦える力は残っていないでしょうが。」



ジャナルの低い声が響いた。


奴の言葉通り、剣を握る腕に力が入らない。

アルトラの瞳に映る俺の顔には、呪いの痣が見えた。



…もう、身体中にガタがきてるってことか。



俺は、ぐっ、と眉を寄せて唇を噛んだ。