一歩ずつ、確かな足取りで前に進んだ。
ぽた、ぽた、と通った道に私の血が落ちる。
…こんな傷、痛くなんかない。
ロッド様の呪いに比べたら、どうってことない。
アルや、ラントも必死に戦ってる。
私が……私が出来ることは…!
ダン!
力強く、円の中心へと踏み出した。
その瞬間、地下牢に広がる魔法陣がパキン、と小さく音を立てる。
私は、ぐっ!と体に力を込めた。
「消えて………っ!!」
大きくそう叫んだ、次の瞬間。
禍々しい魔力を放っていた魔法陣が、大きくひび割れて砕け散った。
バキン!!
魔法陣の破片が、粉々になってキラキラと光を放つ。
ブワッ!と、辺りに激しく風が吹き荒れた。
私が、がくん!とその場に崩れ落ちたその時王妃様が柱の根元に座り込む王様に駆け寄った。
ぎゅう…っ!
震える手で抱き寄せた王妃様は、王様に優しく口づけを落とす。
地下牢に流れる魔力が、一瞬波打った。
「……っ……」
小さな呼吸が聞こえた。
王様の翠の瞳が、ゆっくりと見開かれる。
アルと同じ宝石のような瞳は、王妃様の姿を見た瞬間、優しく細められた。
…ガチャン…!!
王様の魔力が部屋を包み、体の自由を縛っていた鎖が砕け散る。
…王様の呪いが…解けた……?
思わず、涙が溢れそうになる。
「…よかっ…た……」
無意識に、そう声が漏れた。
優しく見つめ合っていた王様達は、お互いの無事を確認すると、私に視線を向けた。



