…トン!
私は、勢いよく扉に手を付いた。
ぐっ!と体に力を込めながら、体に流れる浄化の力を、指の先に伝えていく。
…ピリッ…!
微かに音を立てて破れる呪符。
私は、一気に腕に力を込めて、扉を押し開けようと体重をかけた。
王妃様も、私の隣に手を付いて扉を押す。
ギィィィ…!
低い音が辺りに響いた。
大きな扉の先に、鈍い光を放つ魔法陣の床が見える。
ビリッ!と、空気が振動した気がした。
禍々しい呪いの魔法が、この空間に溢れているようだ。
その時、私の隣で、王妃様が小さく息を呑んだ。
彼女の視線は、魔法陣の真ん中の柱に鎖で縛り付けられている男性に釘付けになっている。
白い髭を蓄えた男性は、顔を伏せたまま目を覚ます気配はない。
整った顔立ちは、アルによく似ていた。
…やっと見つけた…!!
安堵で少し表情が緩まるが、王様はぴくり、とも動かない。
やはり、白雪病の毒リンゴのせいで深い眠りについているようだ。
そんな王様の姿に、王妃様の顔が青ざめているのが分かった。
「王妃様。」
私は、彼女に早口で声をかける。
「私が床の魔法陣を浄化しながら進みます。
私の後に続いて来てください…!」
彼女は、何度も頷いてはやる気持ちを必死で抑えているように見えた。
私は、意を決して呪いの魔法陣に足を踏み入れる。
バチッ!!
「!」
突然、身体中に痺れが走った。
つい、痛みで顔が歪む。
ロッド様の時よりも強力なもののようだ。
一歩踏み出す度に、足の裏から全身に痛みが広がる。
…でも、ここで怯んで足を止めるわけにはいかない…!



