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《ロッドside》
「準備はいい?ロッド。」
「あぁ。」
目の前にあるのは、玉座へと続く扉。
辺りには、ジャナルの魔力が濃く漂っている。
ギィ…!
俺達が触れる前に、大きな扉が自然と開いた。
まるで、“早く来い”と挑発されているようだ。
…コツ。
無言で、二人同時に足を踏み入れる。
すると、そこにいたのは禍々しい妖気を放ったジャナルの姿だった。
「…ようこそ、私の城へ。
お待ちしておりましたよ。」
恭しくそう言ったジャナルに、俺は無言で剣を構える。
チャキ…、と音を立てた切っ先に、ジャナルは「いきなり殺気を出すなんて、美しくないですね。」と冷たく目を細めた。
…美しいも何も言ってられるか。
さっさとケリをつけてここから出る…!
すると、俺の隣にいたアルトラがジャナルを睨みながら口を開いた。
「ジャナル。お前の罪は、極刑に値する。
僕が、今ここで、王子としてお前を処刑する。」
「私を殺す…、ということですか。
…いいでしょう。今度は貴方にもお父様と同じ呪いをかけてあげますよ。」
アルトラが、眉をぐっ!と寄せた。
その瞬間、ジャナルが藍色の瞳を鈍く輝かせる。
「さぁ、来なさい、反逆者達。
ここで、貴方達を仲良く葬り去ってあげましょう…!」
ジャナルの言葉に、俺とアルトラは勢いよく床を蹴って飛び出した。
…ガキン!
俺の剣を、ジャナルは持っていた杖で受け止める。
ギリギリと武器が音を立てた。
即座に、逆側からアルトラがジャナルへ剣を振り上げる。
すると、ジャナルは、ぐわっ!と魔力を放出して、アルトラに向かって漆黒の矢を放った。
ドドドドッ!!
俺の剣が弾かれると同時に、アルトラは矢を剣で受け止めながら直撃を避けていく。
…くそ
二人同時に攻めても、隙がない…!



