しかし、アルトラは俺をまっすぐ見つめて答える。



「何を言ってるんだ、ロッド。

僕は、お前を盾にしてまで生き抜こうだなんて思えない…!」



「俺に義理立てなんてするな。

騎士は、王族を守ることが仕事なんだ。幼馴染みだからとか、情があるからといっている場合じゃないだろう。」



俺はそう言い切ったが、アルトラは険しい顔をしたままだ。


その時、俺は彼をまっすぐ見つめながらはっきりと言い放った。



「アルトラには、生きて会わなきゃいけない奴がいるだろう…!」



「…!」



俺の言葉に、アルトラが目を見開いた。



「お前には…姫さんがいるだろう…!」



そう続けた俺に、アルトラは微かに肩を震わせる。



…そうだ。


頭の中に浮かぶのは、アルトラの嫁になる
“彼女”の姿。


城のホールで姫さんとの契約を解消したのは、俺が死んだ後に彼女を縛らせないため。


姫さんには、アルトラがいる。


俺がもし力尽きても、それがアルトラを守り抜いた後なら、姫さんは幸せになれるんだ。



「アルトラ、お前、俺に言ったよな。“僕は、君がなんと言おうと、セーヌさんを幸せにしてみせる。”って。

俺は、それが聞ければ十分なんだ。ジャナルの攻撃魔法は、俺が何としてでもお前に当たらないようにする。」



“だからお前は、生きて姫さんと幸せに…”


そう言おうとした、その時だった。



「…そうだよ。

僕は、セーヌさんを幸せにする覚悟がある」







その時、アルトラが俺の肩を腕を回し、ぐいっ!と俺を支えるように立ち上がった。


目を見開いた瞬間、彼は続ける。



「だからこそ、ロッドをここで死なせるわけにはいかないんだ…!」



…!