…!
ラントは、クロウの言葉を受け入れるように頷くと、すっ、と私を見た。
「セーヌ、王達を頼んだぞ。
ロッド団長のことは俺に任せろ。」
「うん…!分かった!」
私がそう答えると、ラントは騎士達と逆方向の廊下に向かって駆け出そうとした。
「…!待て。」
その時、ふと、クロウがラントを呼び止める。
立ち止まり、振り返ったラントにクロウは床に散らばる魔法石の欠片を一つ手に取った。
そして、ラントに差し出しながら言葉を続ける。
「これを持っていけ。
水晶を破壊する鍵になるかもしれない。」
私は、その様子を見て彼らに駆け寄った。
ラントに手渡された魔法石の欠片は、もう呪いの魔法は宿っていないようだ。
私は、ラントに向かって声をかける。
「ラント、それちょっと貸して。」
「?あぁ。」
私は、ラントから欠片を受け取ると、手のひらに包んだ欠片へと力を込める。
ポゥ…!
欠片に、淡い浄化の光が宿った。
私は、温かな光を放つ欠片をラントに手渡す。
「これで、少しは浄化の役に立つかもしれない。
…ラント、気をつけてね…!」
「おぅ!」
ラントが、ふっ、と口角を上げた
その時だった。
ガシャ、ガシャ、ガシャ!
鎧の騎士達が、私達に向かって進軍し始める。
背後から、ロッド様の声が聞こえた。
「行け!姫さん!」
!
はっ!とした瞬間、クロウが再び私の手を取った。
「走るぞ。」
「!うん…!」
私は、クロウの言葉に素早く頷いて駆け出した。
四方に分かれるようにホールを飛び出した私達は、背後から迫り来る鎧騎士達の足音に攻め立てられる。
横目で、奥の廊下に向かったラントを騎士達が追っていくのが見えた。
…とにかく、早く騎士達を振り切らないと…!



