反逆の騎士長様



ラントが、道を開くように先頭切って進んで行く。

そして、城の大きな扉の前に立つジャナル大臣に向かって剣を構えた。


ラントは勢いよくジャナル大臣に斬りかかるが、大臣はそれを避けようともしない。



「そこをどけぇ、ハゲーッ!!」



と、次の瞬間

叫び声と共に、ラントがジャナル大臣の体を斬り裂いた。



え…っ?!



呆気なさに、その場で固まる。


しかし、ゆらり、とよろめいたジャナル大臣は、煙のように姿を消した。



…?!


まさか、今のは魔力で作られた“偽物”…?!



その時、曇天に包まれた城に、ジャナル大臣の低く地の底から響くような声が響き渡った。



『玉座まで辿り着けたら、相手になってあげますよ。

無論、その前に鎧の騎士達に殺されるかもしれませんがね。』



…!



ロッド様が、ぐっ、と険しい顔をする。



その時、背後からガシャガシャと鎧達の足音が聞こえ始める。



…まずい!


追いつかれる…!



するとその時、私の後ろにいたロッド様が、トンッ、と私の背中を押した。



えっ…?



つい、目の前のラントの背中に手を着くと、それに気づいたラントも微かに後ろを振り返る。



「ロッド様…?」



私が小さく彼の名を口にすると、ロッド様は碧い瞳を細めながら言った。



「姫さんはラントと先に進んで地下牢を目指せ。

俺とアルは二手に分かれて騎士達を引きつけながら玉座へ向かう。」



「…っ!」



どくん、と心臓が鈍く音を立てた。



まさか、自ら囮になって騎士達の相手をするつもり…?


呪われた体で…?



私の心の中に、一瞬の動揺が生まれた。



ここはジャナルの城。


普段よりも闇の魔力が強い分、呪いの魔法の進行も速いだろう。


そんな中でロッド様から離れたら、彼の体が呪いの痣に侵食された時に対処しようがない。


しかも、ロッド様とアルは二手に分かれると言った。


いざという時に別行動だったとしたら、ロッド様は、玉座にたどり着く前に息絶えるかもしれない…!