**
「門までそっくりだな。
気味が悪いくらいだぜ。」
ジャナル大臣によって作り上げられた幻想のノクトラーム城の門の前。
ラントが、目の前にそびえ立つ城を見上げながら呟いた。
…確かに、私が見たノクトラーム城とそっくり…。
周りは荒れ地だが、城の中はちゃんと草花や自然がある。
その時、アルが真剣な瞳で城を見つめながら口を開いた。
「おそらく、父上と母上は地下牢に投獄されているだろう。
城内が本物の城と同じ間取りなら、奴が呪いの魔法陣を一番張りやすいのは地下牢だろうからね。」
すると、それに同調するようにロッド様が言葉を続けた。
「地下牢への道は、庭から回り込んだ方が早いだろう。
わざわざ敵の懐である城内に飛び込むような真似は避けたいしな。」
…!
そうだ。
私がロッド様を地下牢から連れ出した時も、庭に繋がる階段を上って地上に出たんだ。
私達はロッド様の言葉に頷いて、門をくぐって庭へと向かうことに決めた。
…コツ…
私達が、反逆の一歩を踏み出した
次の瞬間だった。
「ようこそ。
必ず来ると思っていましたよ、ロッド。」
「「「「!!」」」」
低く妖しい声が辺りに響いた。
ばっ!と身構え声の主を探すと、城の扉が
ギィ…、と開き、藍色の瞳の男が現れた。
…!
あれは…!
「!ジャナル…!!」
ロッド様が低く彼の名前を呼んだ。
ジャナル大臣は、顎に蓄えた黒い髭を撫でながら、ゆっくりとこちらへと歩み寄った。
そして、数歩進んだところで立ち止まり、口を開く。
「わざわざこんな国外れに来るなんて、素晴らしい忠誠心ですね。
我が国の騎士長ながら、尊敬しますよ。」
「御託はいいから、さっさとそこをどけ。あんたに構ってる暇はない。
早く俺の呪いを消してもらおうか。」



