目の前で自分に微笑みかける中年の騎士。
 
中年と言えども『ディヤマン』という騎士の最高の称号を持つだけあって、きっと腕もたつのだろう。
そして、その腕に負けずと劣らない、若者にも負けない体力と身体を持つのだろう。
 
国の守り神とまで謳われている彼。
 
だけど驕った所など全くなかった。

話もとても面白くてまた即興の歌も聞かせてくれた――それのなんと上手いことか。

(王宮に仕える騎士は、武道だけではなく教養や礼儀作法も卓越しなくてはいけないと聞いていたから、クリス様も出来るのは当然だわ)
 
それに、自分をお姫様として大事に扱ってくれているのは、傍目からして充分分るものだ。
 
歳が離れているだけで旦那様としては充分過ぎる逸材ではないか。
 
――なのに