ディヤマンで国最強の騎士。
 
強くて逞しくて、朗らかで優しい。
 
そして何より自分を愛してくれる。
 
彼のお陰で解けた呪い。


「そんな彼と結婚できた私こそ、もしかしたら『強運』なのかも」
 
呟くように言った言葉はクリスには届かず

「?  何か言いましたか?」

と、じっと自分を見つめる。

「――今は人がいないから、馬車の屋根を付けてゆっくりしたいな、と言ったんです」
「それは賛成です」
 
聞いていた従者が気をきかせ、本体に付いているハンドルをグルグルと回す。
 
すると、折り畳まれていた部分が広がり、屋根が出来た。
 
屋根が完璧に閉じる瞬間、二人が寄り添う場面を従者は見逃さなかった。