「どうだっていいでしょ、別に」
私は隠すように、顔を逸らした。
触れられたくない、誰にも。
あの人のことなんて、思い出したくもない。
そのまま歩き出そうとした私。
だけど篁くんが腕を掴み、引き止めた。
「どこ行くの?」
「どこって、戻るんでしょ」
お茶を買ってくると言って、そのまま。
瀬良さんの番号とか聞いてなくて、何の連絡もしないまま今に至る。
なかなか帰って来ない私達を、きっと心配してると思うし、困っているはず。
だから……。
「早く戻らないとみんな……」
「連絡ならしてる。迷子見つけたから、遅くなるって」
「え……」
いつの間に……?
いや、スマホはちょこちょこ弄っていたし、タイミングならいつでもあったとは思う。
だけど、まさか篁くんがそんな気の利くことをしているとは思わなくて……。
「だからさ、もうちょっと付き合ってよ」
「……はい?」
感心したのもつかの間。
腕を掴まれたまま、私は怪訝な顔をする。



