すき、きらい、恋わずらい。


余計なことを喋ってしまいそうになったのは、きっと寝起きだったせい。

「それよりも……」

私はさっきの発言をなかったことにしたくて、話を逸らそうとした……その時。


「そら!!」


バタンと勢い良くドアが開き、一人の女性が急いで中に入ってきた。

ロングスカートにリュックを背負った、30歳前後といった感じの風貌。

初めて見る人だけど、大きく叫ぶように呼んだ名前に、誰なのかは一瞬にしてわかった。


「もう、どこ行ってたの!?心配したんだからっ……」


他には目もくれず、女性が真っ直ぐ駆け寄っていった先には、そらくん。

そして、少しびっくりした顔をするそらくんを、女性はぎゅうっと抱きしめた。


「ママ……」

「もう、ほんと心配かけてっ……」


感動の対面もそこそこに、お母さんは抱きしめたそらくんを引き剥がすと、スタッフ、そして私達に深々と頭を下げた。


「大変ご迷惑をおかけしました!ありがとうございました」


とても申し訳なさそうに謝ったお母さんは、「ほらおもちゃ片付けて」と、そらくんに促す……けど。