すき、きらい、恋わずらい。



「迷子ですか?」

ドアを開けて中に入ると、すぐさまスタッフにそう声をかけられた。

さすが連日迷子の対応をしているだけはある。

そこからの対応は早くて、あれよあれよという間にそらくんから必要な情報を抜き出し、迷子の園内放送がされた。

そして、


「じゃあ、お姉さん達とこっちでお母さん待ってよっか?」

スタッフがそらくんの前にかがんで話しかける。

“こっち”と指差されたスペースには、少し遊具が置かれたプレイルームもあって、私達は「それじゃあ」と、出て行こうとした。

だけど、


「お姉ちゃんと一緒がいい」

「え?」

「お姉ちゃんと一緒がいい!」


ブレザーの裾をぎゅっと掴んで引き止められて、パチパチと瞬きする。

そらくんは少し涙目だけど強い瞳で『行かないで』と私を見つめていて……。


そんな顔をされたら、置いていけない。


私はお母さんが迎えに来るまで、一緒に待つことにした。

そしてそれは……、


「お兄ちゃんも」


篁くんも。