すき、きらい、恋わずらい。


「……?」

どうしたのと言わん顔をして、首を傾げる男の子。


「ほら、名前呼んでやれよ」

「っ……!?」


固まるあたしに後ろからそう声をかけてきたのは、篁くん。

クスッと笑って、いかにも面白がっている表情に、顔がカッと赤くなる。


嫌だ。こんなの嫌だ……けど。
ここで拒むのは子どもすぎる。


「そ、そらくんっていうんだ」


きっと、無理やり作った笑顔はとても引きつっていた。


篁くんはプッと吹き出し、一度キョトンとしたそらくんも、つられるように「お姉ちゃん変な顔!」と笑ったから。


そんなこと言われたって……。

不本意に笑われて、私はムッとするけれど、すぐにまぁいいかと肩の力を抜く。


だって、ずっと強張った顔をしていた男の子が、やっと笑ってくれたから。




そのまま、手を引きながらインフォメーションへと向かった。

途中でお母さんが見つかれば一番良かったのだけど、残念ながら見つからず。

数分ほど歩いて、たどり着いた建物。