すき、きらい、恋わずらい。


「な……」

目の前で言われた言葉に、私は目を見開く。


だって、なに……?
無性に困らせたくなる……って。

そんな一瞬の感情で、私は振り回されてるの……?


「っ……!!」

さすがにもう我慢の限界だった。

私は片手を振り上げようとする……けど。


「う、わーん!!」


突然聞こえてきた声に、私は手を止めた。


私も篁くんもギョッとして、声の聞こえた方に顔を向ける。

するとそこには、4、5歳くらいの男の子。


「ママぁー!!」


この世の終わりかというくらい、泣き叫ぶ男の子の姿に、私はキッと篁くんを睨みつけてから、彼に背を向けた。


言いたいことは後からだ。

今はそれよりも……。


「どうしたの? ママとはぐれちゃったの?」

「ママぁー!!」


私は男の子の目の前にしゃがみこんで、穏やかな声で問いかけた。

だけど、男の子は私の声なんか聞こえていないみたいに泣き叫ぶ。

その様子に、そっと手を伸ばそうとすると、パシッと手を叩かれた。