「……」
言いたいことは分かる。
でも、「そうだね、ありがとう」なんて、私にはとても言えない。
今の彼の行動が、わざとなのかは分からない。ただ……。
「あんなカッコいい人に好かれてて、羨ましいなぁ」
「はは……」
うっとりとした様子で言う瀬良さんに、私は乾いた笑いを返す。
詳しく説明するのは面倒だから否定しないけど、好かれていて助けてくれたんじゃない。
それだけは、ハッキリしてる。
きっと助けてくれたのだって、篁くん自身がフリーフォールに乗るのが嫌だったとかに決まってる。
そう思ったから、私は何も言わず歩き出した。
嫌だ嫌だと思っていた遠足だけど、唯一の救いは同じ班の女子の瀬良さんが、篁くんの取り巻きのひとりじゃなかったこと。
それだけですごく過ごしやすくて。
篁くんも、教室でのように絡んでくるものだと思っていたら、意外にもそれほど話しかけて来なかった。
そうして、思ったよりも平穏に迎えたお昼。



