そうして迎えた遠足の日。玄関を開け外に出ると、絵に描いたような快晴だった。
「ゆづ、おはよう!」
いつもより少し遅れて教室に着くと、真っ先に駆け寄ってきたのはありさ。
「遅れるっていうから心配したよ。ゆづが寝坊とか珍しいね。 今日が楽しみで眠れなかったとか?」
「まさか……その逆」
いかにも怠げに言った私の返事に「だよね」と、ありさが苦笑する。
今日が楽しみで眠れなかったのなら、どんなにいいことか。
実際は全く、これっぽっちも楽しみなんかじゃないし、眠れなかった理由はもうひとつ。
昨晩、あの人が……父さんが家に帰ってきたから。
ガチャンと鍵を開ける音が聞こえた瞬間、ドキッとした。
夕食後、リビングでくつろいでいた私は慌てて自室に戻り、閉じこもった。
一瞬でも顔を合わせるのが嫌で、お風呂に入ったのはあの人が寝てから。
今朝も、本当は早く起きて先に家を出ようとしていたのに、あの人が思ったよりも早く起きてくるから、部屋を出られなくて。
寝坊したから遅れる……と、ありさに連絡したんだ。



