――そんなわけで放課後。

私は影山くんとふたりで、遠足のしおり作りをしていた。


クラスの親睦を深めるため、5月の始めにある学校行事。

クラスごとに行き先を決めるのだけど、うちのクラスは比較的近場にあるテーマパークに決まった。


タイムスケジュールとか、グループメンバーだとか、あらかじめ先生が印刷してきてくれたプリントを、ホッチキスで止めていく。

「手伝うよ」と、ありさが言ってくれたけれど、そうすると余計な人物までくっ付いてきそうで断った。


作業の始め頃には、まだパラパラと人がいた教室の中には、いつの間にか、私と影山くんのふたりきり。

カシャン、カシャン、とホッチキスの音だけを響かせていると……


「高宮さんも大変だね」


目の前で同じくプリントを閉じていた影山くんが、突然声をかけてきた。


「そう、かな? 私は部活やってるわけじゃないし、このくらい何とも……」

「そうじゃなくて。篁くんのこと」

「……あぁ」