「高宮さん」
ありさでも篁くんでもない、誰かに名前を呼ばれて顔を上げた。
見ると、篁くんの隣に立っていたのは同じ学級委員の影山くん。
「今日の放課後、遠足のしおり作っちゃおうと思ってたんだけど……別の日の方がいいかな?」
少し困ったように苦笑する影山くんに、私は「あ……」と、声を上げる。
「ううん、来週だしそろそろ作っておかないと怒られちゃうよね」
「いいよ、今日やっちゃおう」と頷いて、私はありさに両手を合わせた。
「ごめん、買い物はまた今度付き合って」
……良かった。
買い物に行きたかったのは事実だし、予定は変わってしまったけれど、それでも今この状況で、ホッとした方が大きい。
「……つまんねーの」
「わかった」と微笑んだありさを横目に、ボソッと篁くんは呟いて、私達に背を向けた。