篁くんの正体というか、素を知ってしまったわけだけど……それからも相変わらず、付きまとわれている。
もちろん、私に気があるわけじゃなくて。
こうして私が嫌がっていることを、面白がっているだけなのは明白。
だけどそれでも、私は『やめて』と強く言うことが出来ずにいた。
だって……。
「また高宮さんだよー」
「あの態度、何様って感じだよね」
「蒼空くんもいい加減あきらめればいいのに……」
意識を集中させれば聞こえてくる、周りの女子達の声。
表向きは彼に言い寄られていることから、私は彼女らのやっかみの対象になっていた。
正直に言えば、面倒くさい。
果てしなく面倒くさくて迷惑。
……だけど、これでいい。
「で、放課後ふたりでどこ行く予定だったわけ?」
「……」
にこにこと、うわべだけの笑顔を貼り付けて問いかけてくる篁くんに、とてもじゃないけど素直に答える気にはならない。
どうこの場をやり過ごそうかと考えていると、