ソファの肘当てに突っ伏して、思い出すのは篁くんのこと。


『俺もあんたが可哀想とか思わない』


頭の中に残った彼の言葉に、ぎゅうっと握りこぶしを作る。


別に同情して欲しいなんて、これっぽっちも思っていない。

でも……。


脳裏に浮かぶ、篁くんが下げていた紙袋。

それは、彼のお父さんが帰ってくるという証拠。


ひとりじゃないという……証拠。



「あんたの方がマシだから……」



私が吐き出した言葉は、誰に伝わるわけでもなく。

私はそのまま目を閉じた。