すき、きらい、恋わずらい。



外に出て、私が一度閉めたドアは、すぐにガチャッと音を立て再び開いた。

出てきたのは、篁くん。


「っ……」

パッと目が合った後、私は反射的に顔を背けた。


何か言われたりするだろうかと身構える。

だけど篁くんは、私の隣を無言でスッと通り過ぎて。


……あ、あれ?

拍子抜けした私は目をパチパチさせる。


なんだ……何も言ってこないんだ。

それならそれで。
その方が私も嬉しい……はずなのに、何で。



「……待って」


私は篁くんの袖を掴んで、呼び止めていた。

振り向いた篁くんが、少し驚いた顔をするけど、私だってびっくりしてる。


だって、何で……。

それは、咄嗟の行動だった。


「あ、あの……」

気まずくて視線を落とせば、篁くんが片手に下げた紙袋が目に入った。

中身はきっと、さっきの……。



「……私はあなたのこと、可哀想だなんて思わない」

「は?」

「言われなくても、同情なんてしないから」