そんな彼の様子に……ムカつく。
ここではこれが彼の素なんだろうけど、ありさの両親の人が騙されているような、そんな気がせずにはいられない。
終始穏やかに過ぎていく時間。
きっと私だけが、そんな複雑な感情を持て余していて……。
「ゆづちゃん、どうかした?」
「えっ?」
「さっきから黙り込んでるから」
「あっ、いえ!美味しいなぁって思ってて」
ありさのお母さんに突然声をかけられて、私が慌てて誤魔化すと、
「ふっ……」
隣から鼻で笑う声が聞こえた。
パッと視線を向ければ、箸を持った篁くんが嘲笑するような表情を浮かべていて。
――この人っ!
ここにいるのは私への嫌がらせだと、その瞬間悟った。
私が困るのを楽しんでいるんだと。
やっぱり誰が同情なんてするもんか!
私はカアっと頭に血を登らせ、目の前の唐揚げひとつをそのまま口に押し込んだ。



