それから少ししてリビングに戻ると、ありさのお母さんが買い物から帰ってきて。
それに続くようにお父さんも帰ってきた。
黒縁メガネをかけた長身で細身のありさのお父さん。穏やかな雰囲気の通り、とても優しい人で。
私と篁くんの姿を見るなり、「いらっしゃい」と微笑んで声をかけてくれた。
そして始まったお食事会。
食卓に並べられた料理の数々は、まるで誕生日かクリスマスのような豪華なもので、どれもとても美味しい。
ありさのお母さんも、お父さんもとても良い人で、何でもない会話に笑顔が溢れる。
ありさの家のこの雰囲気が大好き。
ただ、隣にこの人さえいなければもっと楽しかったのに……と、とても声には出せないけれど、そう思った。
横に並んだありさの両親の向かい側。
私の横に座った……篁くん。
幼い頃からずっと知られているからだろう。
学校での雰囲気とは少し違って口数こそ少ないけれど、問いかけには素直に答え、少し笑ったりもしていた。



