「ご、ごめん……」

少し驚いた顔をしつつ、素直に謝るありさ。

篁くんは、そんなありさに呆れたような顔をしつつ、私に視線を移して――。


「余計な同情とか、いらねーから」


ムスッとした顔で一言そう告げると、部屋から出て行った。


バタン、と音を立て閉められたドア。


「……」

私は目をパチパチと瞬かせ、呆然とする。


余計な同情とかいらない……?

いやいや何で、私が同情してあげなきゃなんないの。


そりゃあほんの少し、ありさから話を聞いて、可哀想かもしれないと思った。

でも……だけど。


私の中で忘れられない、彼の挑発的な顔。

そして……女の子を一括りにして、馬鹿にするようなあの表情。


わざわざ言われなくったって、私は同情なんてしない。

だって、篁くんみたいな男が世界で一番大嫌い。


「……ていうか、勝手に女の子の部屋に入ってくるとかないでしょ!?」

ふつふつと湧き上がってきた怒りをぶつける相手はもうここにはいなくて、ありさに向かって言うと、

「子どもの時からそうだから」

ありさは特に気にしていない様子で苦笑した。