キッと睨みつけて声を張り上げれば、篁くんはフッと笑って一歩私に詰め寄った。

そして、頰に手を伸ばす……と、


「その顔……ムカつくんだよ」

「な……」


笑った表情から一変。

冷たい目をして言った言葉に、私は思わず目を見開いた。


「男嫌いとか言っといて、どうせすぐなびくんだろ?」


さっきまでとは、まるで別人。

蔑んだ目で私を見つめる。


どうせすぐなびく……?


「だ、誰があんたなんかにっ!」


カッとなった私は、彼を思いっきり突き飛ばした。


「あんたの周りの人達と一緒にしないで!」


私は違う。
顔がカッコイイ、それだけで簡単に恋に堕ちたりしない。

むしろ、私は人を好きになったりしない。


好きになったり……出来ない。


「ふーん……」

突き飛ばされた反動で、後ろに2、3歩よろめいた篁くん。


「いつまでそう言ってられるだろうな」


挑発的に笑うと、睨みつける私を残して階段を降りていった。


何なの……あいつ!