「蒼空くん蒼空くんっ!」
あっという間に、私の席の後ろには女の子達の人集りが出来ていた。
あー……もう、また戻れなくなっちゃった。
「はぁ」とひとつため息を吐いて、私は教壇から降りる。
そして向かった先は、ありさのところ。
窓際の一番前の席。
昨日始まったばかりだけど、授業中以外はほとんどここで過ごしている。
「お疲れさま、ゆづ」
影山くんと同じく労ってくれたありさに、「ありがとう」と苦笑した。
「図書委員、なれて良かったね」
「うん、ゆづのおかげ」
嬉しそうに微笑むありさ。
その笑顔を見れただけで、代わって良かったなぁと思う。
……あ、そういえば。
「さっき教室戻ってたとき、言おうとしてたことって何だったの?」
影山くんに呼び止められて聞けなかったけど、何かを言おうとしていた。
「あ……うん」と頷きながら、ありさは表情を曇らせる。
そして、
「あのね、実は昨日……」
周りをほんの少し気にしながら、ありさが喋ろうとした……そのときだった。



