すき、きらい、恋わずらい。


教室の中心。
ポツンとひとつ空いた席の向こう。

ホームルームが始まったそのときから、私をじっと見ている気がするのは……篁くん。


こうして教壇に立っているのだから、見られているのは当たり前。

……なんだけど、他のクラスメートがこっちを見ているのとは、少し違う気がするというか。


確実に“私”を見ている気が……する。


とは言え、彼の方を私は見れない。

目を向けて、視線がぶつかったりしたら困る。


本当に、出来るだけ関わりたくない。

だから……。


たぶん気のせい。
きっと黒板を見ているだけ。

そう自分に言い聞かせて、彼のことは見ないようにして、何とかホームルームをやり切った。


そして、学級委員という役割から解放されたのは、授業の終わり。


てっきり、先生が戻ってくれば交代だと思っていたけれど、「そのまま続けて」と、言われて。

結局、丸々1時間黒板の前に立っていた。



「お疲れ」

号令をかけ、一気にざわつく教室の中、影山くんが労いの声をかけてくれた。

「お疲れさま」

あたしもそう返して、自分の席に戻ろうとするけど……。