「……と、いうわけで、学年会議が終わり次第教室に行くから、それまでホームルーム進めてもらっていい?」
職員室。
担任の増田先生の言葉に「はい」と返事する私と、ひとりの男子。
それは、さっきありさと一緒にいるところを呼び止めた彼。
どこかで見たことがあると思ったら、クラスメートで、学級委員になった男子だった。
「友達と話してたところだったのに、ごめん」
「ううん。えっと……」
「影山、影山 真琴(かげやま まこと)」
ああ、そうだ。
影山くんって、先生に呼ばれていたっけ。
職員室を出たところで、初めてちゃんと会話する。
確か男子はすぐ、立候補した人がいて学級委員が決まった。
黒縁メガネで、見た目からして真面目そうな影山くんは、いかにも学級委員って感じ。
男子は嫌い。……だけど、この手の人ならまだ大丈夫。普通に話せる。
「これからよろしく、影山くん」
私が軽く微笑んで挨拶すると、影山くんは少し赤くなりながら「よろしく」と、短く返事してくれた。