すき、きらい、恋わずらい。



……最悪。

見たくもなかった光景に、眉を寄せる。


かなりの遠回りになってしまうけれど、反対側の階段から降りよう。

そう思って、来た道を引き返そうとした……そのときだった。


ビュウッと、まだ冷たい風が突然吹いて、

抱えていた楽譜の一枚を飛ばされた。


……それも、ふたりのいる方に。


「あっ……」


小さく声を上げ、手を伸ばすけれど間に合うはずもなく、

ひらひらとそれは、私と彼らの中間に落ちた。


「……」


私の存在に気付いたふたりと目が合う。


――もうこうなったら仕方ない。


私はそれを拾い上げて階段を降り、軽く会釈して足早にふたりの前を通り過ぎようとした……のに。