「結月は? 結月はピアノ、好きじゃねーの?」

「えっ?」


唐突にふられた話題に、私は目を丸くする。

だってピアノなんて、高校に入って人前で弾いたのとか、今年の入学式の一度だけ。

記憶に残るほどの演奏はしていないし、ピアノが得意だって発言もしたことがない。

それなのにどうして……と、驚いていると、


「実は、ずっと聴いてた。放課後、結月が練習してんの。誰が弾いてるかまでは分かんなかったけど、すごい良い音で……いつも聴いてた」

「……」

「あの時もそう、結月に引っ叩かれたとき。会長に見つかっちゃったけど、それまでピアノ聴いてたんだ」

「なっ……」


驚きすぎて、声にならない。

だって、まさかずっと聴いていたなんて。
蒼空くんが私のピアノを聴いていたなんて……。


「あ、もしかして運命とか感じちゃった?」

「っ!? ち、ちがっ……!」


からかう言葉に、反射的に否定しようとすると、