ありさから読書家だという話を聞いたことがあるけれど、実際にこうして目にするまで信じられなかった。

……今まで抱いていたイメージと違いすぎて。

でも……。


「あぁ、子どもの頃からずっと本ばっか読まされて……って、これはあの人の影響かも」

「あの人?」

「……うちの母親」


蒼空くんの口から出てきた言葉に、思わず固まる。

お母さんの話は何となくタブーで。

聞いちゃいけないことを聞いてしまったかと、不安になる……けど、


「小さい時からよく無理やり絵本とか読み聞かせられてたから」


発せられた言葉こそ迷惑みたいに言うけれど、蒼空くんは目を細め、優しい顔をしていた。

……まるで、愛おしい記憶を思い出すみたいに。


「蒼空くん……」

お母さんのこと、何とも思っていないと言っていたけど、本当はそんなことないんじゃないか。

そう思って、口を開こうとした私に、