「なにしてんの?」

「ひゃっ!」

「しっ」


後ろから突然声をかけられ、ビクッとして声を上げると、手で口を塞がれた。

顔はまだ見てない……けど、誰なのかはその声と、行動からして分かる。


……ほら、やっぱり。

ちらりとそのまま顔を上げてみると、篁くん……もとい蒼空くんが、私を見て笑っていた。





「影山と準備室行ってたんじゃなかったっけ?」

「行って、帰ってきてから、ありさにここにいるって聞いたの」


図書室の片隅。

蒼空くんがあらかじめいた場所に並んで座って、私達はヒソヒソと小声で会話する。


「あ、そうそう。ありさに貸してたあの本、私にも貸してくれる?」

「別にいいけど」

「やった、ありがとう!……に、しても、本当に読書好きなんだね」


目の前の机の上には、5冊ほど本が積んで置かれている。

蒼空くんの手には更にもう1冊。