「……行ってくる」

「行ってらっしゃい」


私はありさの意向に従うしかなくなって、顔を赤くさせ頷いた。



篁くんとのことを、最終的に背中を押してくれたのはありさだけど、それでも最初はとても怖かった。

でも、あの翌日からありさはいつも通りで。

篁くんとも幼なじみとして仲良くしている。


もちろん、全く無理してないわけではないと思うけど……。


『蒼空の好きな人が、あたしも大好きなゆづで良かった』


一度、そう言って微笑んでくれたから……その言葉を信じてる。

ありさのためにも、余計な遠慮はしない。



教室を再び出て、階段を降りて歩いて。

辿り着いた図書室のドアを開けると、少し埃っぽい本の匂い。


貸出しカウンターに座る図書委員の人に、軽く頭を下げつつ真っ直ぐ進む。

うちの図書室は結構広くて、本を読んだり勉強したりするスペースが何箇所かある。

どこにいるんだろう……と、キョロキョロしながら探していると、