「あんたのその顔……ほんと、ムカつく」
篁くん家の玄関に、静かに響いた声。
片腕をドアにぶつけ、逃げられないように私を囲んだ篁くんは、
「そんな顔して、好きとかいきなり言うな」
少し動けば触れそうな距離で、とても切なそうな顔をして、私に言った。
「俺が昨日、どんな気持ちで……」
「ごめん、なさい……」
掠れて途切れた篁くんの言葉。
きゅっと胸が苦しくなるのは、今ならよく分かるから。
勇気を出して告白をして、あんな拒否のされ方をしたら、きっと……すごく悲しい。
間違いなく篁くんのことを傷付けた。
そんな私が、こんなことを言うのはずるいけど……。
「……怖かったの。篁くんだって、いつかは私のこと好きじゃなくなるかもしれないのに……好きとか、怖かった」
私がずっと、恋なんてしないと決めていた理由。
それは……信じられる想いなんて、永遠なんてないと思っていたから。
恋なんて、きっと嘘。
都合のいい一時だけの感情。
そんなものに振り回されて、みんなバカ。
私はそんな愚かな生き方はしたくないし、しない。
──今までずっと、そう思っていた。
だけど……。



