「ゆづ、行って!蒼空を追いかけて! 話があるんでしょ!?」
「えっ、でも……」
「ゆづの気持ち、本当は薄々気付いてた。気付いてて、邪魔するようなこと聞いたりしたの。だからっ……」
ありさは泣き出しそうな顔で、私を見つめる。
「あたしのことはいいから、蒼空にちゃんと伝えてあげて。ちょっと悔しいけど、ふたりはすごくお似合いだと思うよ」
「ありさ……」
「お願い、早く行って……早くっ」
微笑んでくれたありさの顔が歪んで、それを隠すように俯く。
その仕草から、ありさの気持ちが痛いほど伝わってきて……泣きそうになった。
ごめんね、ありさ……ごめんね……。
でも、それよりも──。
「ありがとう」
私は震える声を絞り出して、そのまま部屋を出た。
ありさがどんな気持ちで篁くんを呼んで、私の背中を押したのか……考えただけで胸が押しつぶされそうになる。
だけど、だからこそ、ちゃんと篁くんに伝えなくちゃって思った。
……きっと今ひとりで泣いている、ありさのためにも。



