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「いきなりごめんね……」
通されたのは、ありさの部屋。
少し落ち着いたありさは、ベッドに腰掛けると、申し訳なさそうにまた謝った。
「ううん、私はいいけど……。それより体は大丈夫?」
熱は下がったとありさのお母さんは言っていたけど、抱きついてきたありさの体はほんの少し熱く感じた 。
心配して立ったまま声をかけると「大丈夫」と、ありさ。
「昨日ね、実はゆづの家に行ったんだ」
「えっ?」
「でも、なかなか勇気が出なくて……もたもたしてたら、びしょ濡れになって風邪ひいちゃった」
「バカだよね」と続けて、ありさは笑う……けど。
「どうしてうちに……?」
聞きながら、ドキドキしてる。
勇気が出なかった……って、それは。
「ゆづに話があったから」
思っていた通りの返事。だけど私が気にしているのはその先で、ぐっと息を飲む。
すると、ゆっくりと口を開いたありさ。
「本当はね、あたし……もう蒼空にフられちゃってるんだ」
「……え」
小さく告げられた内容に、私は目を丸くする。



