「あ、うん……担任の先生が結婚することになってて」
「へぇー。みんなに好かれてる先生なんだ?」
「うん、すごく良い先生で……」
「結月はまだ書いてないの?」
私の隣に腰を下ろし、色紙を手に取ったお母さんは、まだ私がメッセージを書いていないことに気付いて、問いかけてきた。
「今、何て書こうか考えてたところ……」
「そっか」
少しドギマギしつつ答えた私に対し、お母さんは特に何も気にしていない様子で、あっさりとまた色紙に目を向けた。
『結婚』という言葉に、敏感になってしまっているのは私だけなんだろうか。
お母さんは何も思い出したり、辛くなったりしないんだろうか。
「お母さん……」
私は小さく口を開く。
「本当に幸せになれると思う?」
「え……?」
「結婚して、幸せになれると思う……?」
言っていいとか悪いとか考えるより先に、口に出していた言葉。
それは、お母さん傷口をえぐる質問だって分かっている。
でも……。



