すき、きらい、恋わずらい。




……カシャン。

合鍵を使って、部屋のドアを開ける。


この前はすぐ話し声が聞こえてきたけれど、今日は人の気配はない。

玄関で靴を脱いで進んだ私は、薄暗くなった部屋の中、壁を触って電気を点けた。


いつの間にか、すっかり目に馴染んだ落ち着く空間。

ここは……お母さんの住む部屋。


色々とありすぎて、今日会う予定にしていたのをすっかり忘れていた。

【少し遅くなるから、家で待ってて】と、お母さんからメッセージが送られて来なければ、そのまま帰っていたかもしれない。


肩に下げたカバンを下ろして、私も座る。

遅くなる……って、どのくらいなんだろう。

スマホを取り出して見てみるけれど、お母さんからの連絡はない。


ただ待っているのも手持ち無沙汰で。

……あ、寄せ書き書いておかなくちゃ。

思い出した私は、カバンの中から先生に渡す色紙を取り出した。