「高宮さん」

呼ばれた名前に顔を上げると、私の前に立っていたのは、原田さん。

篁くんとのことで色々とあった原田さんには、正直あまり良いイメージがなくて、私は思わず眉を寄せる……けど。


「これ……」

そう言って、彼女が差し出してきたものは、増田先生への寄せ書き。


「あ……ありがとう」

そっか、いつの間にかもうみんなのところに回ったんだ。

私は原田さんから受け取って、いろんな文字でいっぱいになったそれを見る。


あと残っているのは、私と……。

一人一人の名前を見ながら、まだ書いていない人がいないか確認を始める。

だけど、すぐに違和感を感じて顔を上げた。


「……まだ他に何か……?」


恐る恐る、私が尋ねた相手は……原田さん。


寄せ書きを渡し終えても、原田さんは私の前に立ったまま。


「……」

「原田、さん……?」


ちょっと、何で固まってるの?

突っ立ったまま何も言わない彼女に、私がもう一度声をかけると、